【2026年10月1日施行】カスタマーハラスメント対策の義務化について

公開日:2026年8月7日対象:経営者様・人事ご担当者様

法改正のお知らせ

近年、顧客や取引先等からの著しい迷惑行為(いわゆる「カスタマーハラスメント」「カスハラ」)が社会問題となっており、対応にあたる労働者の心身の負担が深刻化しています。こうした状況を踏まえ、2026年10月1日、改正労働施策総合推進法の施行により、カスタマーハラスメント対策が事業主の法的な義務となります。本稿では、制度の概要と、企業が今から準備しておきたい対応を整理してご案内します。

1. 何が変わるのか

根拠法労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)の一部改正(令和7年改正)
施行日2026年(令和8年)10月1日
関連告示事業主向け指針(令和8年厚生労働省告示第51号・第52号)
あわせて義務化求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策(採用選考の場面等における対応)

2. 「カスタマーハラスメント」とは

厚生労働省の整理によれば、次の3つの要素をいずれも満たすものがカスタマーハラスメントに該当するとされています。

  1. 行為者:顧客、取引先、施設の利用者など、事業主が行う事業に関係を有する者
  2. 言動の性質:社会通念上許容される範囲を超えた言動であること
  3. 影響:その言動により労働者の就業環境が害されること

顧客等からのクレームや要望のすべてが対象となるわけではありません。社会通念上相当な範囲で行われる指摘・要望は、正当な申し入れとして区別されます。一方で、次のような言動は「許容される範囲を超える」ものの例として挙げられています。

  • 内容面の問題:性的な要求、プライバシーの侵害、契約内容を著しく超えるサービスの要求、不当な金銭要求・損害賠償請求 など
  • 手段・態様の問題:暴力・物を投げるなどの身体的攻撃、脅迫、威圧的な言動、名誉毀損・中傷、執拗な繰り返し、長時間の拘束 など

3. 事業主に義務付けられる措置

パワーハラスメント防止措置と同様の枠組みで、事業主には主に次の措置を講じることが求められます。

  1. 方針の明確化と周知・啓発:カスタマーハラスメントに対する会社の方針を明確にし、労働者に周知する
  2. 相談体制の整備:相談窓口を設け、相談内容に応じて適切に対応できる体制を整える
  3. 事後の迅速かつ適切な対応:事実関係を迅速に確認し、被害を受けた労働者への配慮、再発防止に向けた措置を講じる
  4. あわせて講ずべき措置:特に悪質な迷惑行為への対応方針をあらかじめ定めておく、相談者のプライバシー保護、相談したことを理由とした不利益取扱いの禁止 など

4. 対象となる事業主・注意点

労働者を1人でも雇用していれば対象となり、中小企業を含むすべての事業主が義務の対象です。猶予期間は設けられていないため、2026年10月1日の施行日までに体制を整えておく必要があります。

義務に違反した場合、直ちに罰則が科されるものではありませんが、行政による報告徴求、助言・指導・勧告の対象となり、勧告に従わない場合には企業名が公表される可能性があります(パワーハラスメント防止措置と同様の枠組みです)。

5. 今から準備しておきたいこと

  • カスタマーハラスメントに関する会社の基本方針の策定、就業規則等への明記
  • 相談窓口の設置・周知(既存のハラスメント相談窓口と一体的に運用することも可能)
  • 対応マニュアルの整備(一次対応の担当者、社内でのエスカレーションのルール、悪質なケースでの警察・弁護士への相談基準など)
  • 管理職・現場スタッフ向けの研修の実施
  • 相談者・被害者のプライバシー保護、相談を理由とした不利益取扱い禁止の周知
施行日まで時間に余裕があるようで、実際には方針策定から研修実施まで一定の準備期間を要します。早めの着手をお勧めします。

6. 参考リンク・出典

制度の詳細や自社の就業規則・マニュアルへの落とし込み方については、当法人までお気軽にご相談ください。

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